エルサとゴッホの「感情の力」:選択が運命を分けた瞬間

1. はじめに:エルサとゴッホに学ぶ「感情とつながり」

アニメ『アナと雪の女王』で描かれるエルサの物語を見たとき、ふと炎の画家ゴッホの生涯が頭をよぎりました。どちらも感情の嵐を抱え、そのエネルギーを創造へと昇華した人物です。しかし、エルサが妹アナの愛を受け入れ幸せを手に入れたのに対し、ゴッホは孤独にその生涯を閉じました。この対比には、現代の私たちや子育てに通じる大切なメッセージが隠されています。

感情の力を創造に変える才能を持つ二人が、なぜこれほど異なる結末を迎えたのか――その鍵を「つながり」に見いだしながら、親としての学びを掘り下げていきましょう。

エルサとゴッホ——彼らはどちらも感情の嵐を抱え、創造を通じてその感情を表現しました。しかし、最終的に彼らの人生は大きく異なる結末を迎えます。エルサは最愛の妹アナの手を取り、感情を制御して幸せを手に入れました。一方でゴッホは、孤独の中で命を絶ちました。

この違いはどこから生まれたのでしょうか?感情が創造につながる力を持つ一方で、それを支える「つながり」の重要性をこの記事で掘り下げます。エルサとゴッホの対比を通じて、子育てや現代の私たちの生き方に役立つヒントを見つけていきましょう。

2. 共通点:感情と孤独の芸術家たち

エルサとゴッホには、いくつかの顕著な共通点があります。

1. 孤独の中で生まれる創造力

エルサは魔法を恐れる親によって隔離され、孤独な幼少期を過ごしました。同様に、ゴッホも周囲との不和や心の病から孤独を選び、孤独の中で名画を生み出しました。

• エルサの氷の城:彼女の孤独が美しく壮大な氷の世界を形作りました。それは「私だけの城」を求める彼女の強い願望の表れでした。

• ゴッホの星空:孤独な夜に描かれた「星月夜」は、彼の内なる感情の揺れ動きを象徴しています。

2. 感情の爆発が創造を生む

エルサは感情が爆発するとともに魔法が暴走しましたが、それが氷の宮殿や雪の芸術を生みました。一方、ゴッホもまた、激しい感情が筆跡や色彩に現れています。どちらも感情を創造に変えた点で類似しています。

3. 相違点:つながりが運命を変える

では、エルサが幸せを掴み、ゴッホが悲劇を迎えた違いは何だったのでしょうか?

1. エルサは「手を取れた(幸運なことに)」、ゴッホは「手を取れなかった」

エルサは、アナという「つながり」を最後に選び取るチャンスに恵まれました。彼女は一度アナが完全に凍ってしまい、アナを一度失う経験をします。心からエルサはアナを失うことを悲み、後悔をしたでしょう。

アナを通じて愛が氷(恐れ)を溶かす力を持つことを学び、傷つけないために遠ざけるのではなく、アナ(大切な人)と繋がっていたい、共に生きていたいという素直な気持ちを受け入れることで魔法をコントロールできるようになったのではないでしょうか。

一方、ゴッホどうでしょう。彼には彼を心から思う存在がいました。画商である弟のテオドロスです。テオは、兄を精神的にも経済的にも支え続けました。しかしゴッホは、自分が存在しているからこそ弟の負担になっているのだと、自分を責め続けます。

また、画家仲間ともコミュニケーションがうまくいかず、社会に評価されないことに対する絶望感もあったかもしれません。つながりに気づけないまま孤独の中で自ら命を絶ってしまいました。孤独に心を蝕まれながらも、自分を追い込み、描き続け昇華された作品に人々は心を揺さぶれ感動するのかもしれませんね。

今では、その名を知らぬ人はいない芸術の世界の巨匠ですが、彼が生前に描いた作品は彼が生きている間たったの1枚しか売れませんでした。(2枚という説もあり)そんな誰もが見向きもしなかった画家の作品の価値をゴッホの死後押し上げることに尽力、貢献し続けたのは、彼の弟テオとその妻、そして2人の子孫です。

ゴッホとテオのお互いを思い合う気持ちの深さは、彼らが生前やりとりした手紙の内容から読み取ることができます。でも手を取れなかった。この状況は、大切だからこそ離れる選択をしたエルサと同じです。エルサは氷の女王ですが、ゴッホは炎の画家です。内なる炎(感情)に身を焼き続けます。

• エルサの選択:アナが自ら凍った心を溶かしたあと、彼女の手を取る選択をしました。氷が溶けたあとは自分自身を受け入れ、大切な人とのつながりを選びました。

• ゴッホの選択:弟の愛を感じながらも、自分を救う選択をすることができず、孤独に自ら命をたつことを選んでしまいました。

2. ゴッホに「(氷)魔法を溶かすアナ」はいなかった

エルサが感情の嵐の中から抜け出せたのは、アナという存在によるエルサの気づきがあったからです。アナのエルサを思う気持ちがエルサに愛の本質(自分にとって何が一番大切な存在か理解し、その人のことを心から思い行動すること)を教えました。

しかしゴッホには、自身の内なる「氷(恐怖)」を溶かすきっかけにめぐりあえませんでした。ゴッホは炎の画家とも評されるので内なる炎(自分に対する怒りや失望)を弱めるチャンスに巡り会えなかったと表現してもいいかもしれません。

テオはゴッホを愛していましたが、ゴッホは自身が弟の重荷になっている状態に思えてそんな自分が許せなかったのでしょう。ゴッホ自身がその愛に応えることができなかったのです。

ゴッホとテオの手紙はテオの妻が、テオの死後、本にして出版しています。この本の存在もゴッホの魅力を社会に広める役割を担いました。自ら、その生涯に幕を下ろすという激情の画家の中には、弟家族との強い繋がりは確かに存在していました。テオにとってゴッホの死の悲しみの深さは計り知れませんが、ゴッホの残したものを世界へ届けたテオ夫婦とその子ども達の活動なくして、今日のゴッホの作品への評価はなかったでしょう。不器用ながらも人と繋がりを持とうとゴッホはもがいていたことも事実です。

4. 子育てに応用する視点:子どもの「つながり」を育てる

この対比から学べるのは、どんなに大きな感情を持つ人でも、それを支え、理解する「つながり」があるかどうかが人生の結末を大きく変えるということです。

1. 子どもの感情を否定しない

エルサもゴッホも、自分の感情に深く悩みました。親として、子どもが感情を持つことを「悪いこと」と感じさせない環境を作ることが大切です。

• 感情を言葉にする時間を作る

• 「どうしてこう感じたの?」と、感情の原因を話し合う

2. 強いつながりを築く

ゴッホにとってのテオのように、子どもにとって親が「無条件の味方」であることを伝えることが重要です。

• 小さな成功や感情の表現を肯定する

• 子どもの話に耳を傾ける

3. 自分で「つながり」を作る力を育む

エルサがアナとつながることで救われたように、他者とのつながりが自分を救う力になることを教えることも大切です。

5. 結論:つながりの力を信じて

エルサとゴッホは、感情の力を創造に変える才能を持ちながらも、その結末は大きく異なりました。その違いは、感情を受け止めてくれる存在と、それを選び取る選択があったかどうかにあります。

親として、子どもに愛や感情を否定せず、つながりの大切さを教えること。それが、子どもたちが「私だけの城」を築く力となるでしょう。そして、孤独や感情の嵐の中でも、その手を取る人がそばにいることを信じて進めるように。

自分自身にも問いかけてみましょう。

「大切な人の手を取る選択ができていますか?」

引用:『アナと雪の女王』、『アナと雪の女王2』

【偉人の凸凹学】ゴッホの苦難の人生から学ぶ「0か100か」の生きづらさ。もっとラクに生きてゆくには?【LITALICO発達ナビ】
現在、その絵画は値が付けられない価値があり、突出した天才画家・ゴッホですが、その生涯は苦難に満ちたものでした。例えどれだけの才能があろうと、私は我が子には彼のような人生を送って欲しいとは思えないのです。何事にも一途で純粋過ぎると、物事を「0...
タイトルとURLをコピーしました